35 骨折りて 寝たきりになり ボケ始め 三途の河の 彼岸が見える
35 骨折りて 寝たきりになり ボケ始め 三途の河の 彼岸が見える
骨折りて 寝たきりになり ボケ始め 三途の河の 彼岸が見える
年齢が行けば、骨が折れやすくなる。若いうちは若木のように骨にも弾力性があるが、年をとれば、筋も腱も骨も弾力性がなくなり、ゴムで引っ張るプラスチックから、針金で引っ張るガラスのようになってしまう。しかも女性の場合は特にカルシウムが抜けていくので、スポンジのようなスカスカガラスに例えられる骨粗鬆症になることが多く、骨折の頻度が極端に高まる。
そんなこんなで、転倒や過重負荷で骨折が起こった場合、痛みがきつく歩けなかったり、手術したりのために入院となる。手術や固定が可能であれば、長期入院はするが、無事退院となる。しかし、お年寄りは生活環境の変化からくるストレスに弱く、入院期間中に「ちょっと頭が変」になることはよくあることである。もちろん、それがちょっとの場合、退院後に元の生活を取り戻せるが、残念ながら極端にボケが進行してしまう場合もある。
ボケても長生きする場合もあるが、特殊なクエルトフェルツヤコブ病のように進行が早く長生きできない場合もある。いずれにせよ、どのような認知症であれ、骨折のようにほぼ前の状態と同じようになることはなく、一旦かかると徐々にあの世に向かっていることはまちがいない。つまり三途の河の向こう側が見え始めると言える。
最近は地球温暖化による集中豪雨での河川の氾濫も頻繁に起き、三途の河でさえ橋も壊され渡し舟も流されて、渡れなくなる場合もあるかもしれないが、いざ自分となると、「なるべく人様にご迷惑をかけることなく渡りたいもの」と思えているうちは、まだ大丈夫である。
この短歌にあうイラスト募集しています。詳しくは、miwashiro@mx2.wt.tiki.ne.jp (岩城まで)
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