46 急病で 三日と持たない お父さん ドクターヘリで 景色は綺麗 静香
46 急病で 三日と持たない お父さん ドクターヘリで 景色は綺麗 静香
急病で 三日と持たない お父さん ドクターヘリで 景色は綺麗 静香
巌は6月9日夜から発熱し始めた。
翌日にはひどく苦しみ、町医者に往診を頼んだ。往診医は巌の高校時代の寮での先輩で、診察時にはいつも話が弾んでいたが、今回は会話にならなかった。点滴をしてもらったが、夜には意識朦朧となった。これはいかんと、もう一度往診を頼むと、先輩の息子が来た。一通りの診察をしたのち、「今から病院を探しますので、入院の用意をしてください」と言われ、電話をし始めた。最初の病院では対応できる医師が、整形外科医とのことで、断られたようだ。次の病院では、親しげな口調で電話応答していたので、たぶん知り合いの内科医が当直していたのだろうか、即受け入れとなった。
入院後も点滴は続いたが、症状は徐々に悪化した。髄液を採取するときは、数人の若い医者が見学に来たが、髄液を採取したからといって、症状が改善するわけではなかった。巌が不随な動きをするので、手足は拘束され、手袋がはめさせられた。
早速見舞いに来た近所のおばあさんは、巌のそんな姿を見て「こんな病院におったら、殺されるで」とまで言ったが、なすすべはなかった。二日経ったが、改善傾向にはなかった。主治医が「ここで死なれては、悪評が立つので困る」と思ったのか、あるいは「もっといい治療方法をもとめて、専門家の多い病院へ」と思ったのか、夜には急遽川崎大学病院への搬送の話となった。車では1時間半ほどかかるのだが、川崎大学病院からヘリコプターが来るというのだ。ヘリコプターでは15分くらいで着くとのことである。しかし、この病院にはヘリポートがないので、数百メートル離れた、屋上にヘリポートがある病院まで救急車で搬送となった。
ヘリには妻が乗ることになった。妻は心配かけないようにと、今まで息子たちへの連絡をためらっていたが、もしヘリコプターが落ちたらと考えて、携帯で二人の息子に連絡した。
大きな音を立てて、ヘリコプターが来た。
二人の息子はすぐに仕事を切り上げ、川崎大学病院へ向かった。
息子たちは数時間後、大学病院で経緯を母親から詳しく聞いた。その要約が上記だ。
そして、ヘリコプターに初めて乗ったことと、景色がとても綺麗だったことも、付加的に聞いた。その表現は今までに見たこともないものを見たようなとても印象深い表現だった。
この短歌にあうイラスト募集しています。詳しくは、miwashiro@mx2.wt.tiki.ne.jp (岩城まで)
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