22 山里の 老人ホームの 個室には 孫の写真と ひ孫の写真 里子
22 山里の 老人ホームの 個室には 孫の写真と ひ孫の写真 里子
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山里の 老人ホームの 個室には 孫の写真と ひ孫の写真
里子
<解説>
たぶん土地の広さや値段等のことでか、老人施設は、やや、人里離れたところにあることも多い。
認知症が進行していない利用者にとっては、壁際の家族の写真は当然のことであろう。
でも認知症が進行して、自分の名前さえ言えない施設利用者の部屋にも、家族の写真が貼ってある事がある。
見たいために貼っているのであろうか? 見せたいがために貼るのであろうか? いや、認知症が進行前に貼ったのだと思いたい。
しかし、その写真も、更新されていることがたまにある。
とても、ぼけた利用者が更新したとは思えぬ。
このような写真の更新は、毎週在宅医療で訪れている歯科医師にはよく分かる。
見せたいがために貼るのであろうか? いや、見てもらえるようになって欲しいと、叶わぬ願いをかけて、たまに来て、家庭の報告をするつもりなのであろうか。
決してそのようにはならない事を、納得しながら家族の足は、少しずつ遠ざかっていく。
私は、何度もこのような写真を見ている。
そして、その写真は、ある日表札と共に、密かに消えていく。