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43 物言わぬ ホームの母に アイスクリーム 少しの笑顔に 涙溢れる  希代子

43 物言わぬ ホームの母に アイスクリーム 少しの笑顔に 涙溢れる  希代子

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物言わぬ ホームの母に アイスクリーム 少しの笑顔に 涙溢れる  希代子




暑くも寒くもない、青空の見えない敬老の日。和也は希代子とともに、時子を訪問した。手ぶらでいくのもいかがかと思い、途中にあったローソンで、ハーゲンダッツのバニラのカップを、希代子に内緒で買った。こうなる前から「ママはアイスクリームが大好物」と言っていたからだ。

「あらそれ、なに?」
といわれ、
「いや、お母さんへのちょっとしたプレゼント」
と交わしながら、自動ドアをくぐり抜けた。エレベーターで3階に上り、やたら愛想のいい、学生時代に新体操でもしていたような姿勢を保った体操服姿の従業員の挨拶もくぐり抜けると、カウンターの端っこで車椅子に深く座ったままの時子に気がついた。彼女は何を見ているとも言えない視線で、よどんだ淵に浮かぶひとひらの落ち葉のようにゆっくりとしていた。

私たちは、時子に普通に挨拶するように話しかけてはみたが、落ち葉は動かなかった。

「いつもの通り、虚しい語りかけをしたに過ぎない」と思ったか、その虚しさの気分を変えるため、早速、和也はハーゲンダッツを袋から取り出した。赤紫の蓋と内カバーを開け、プラスチックのスプーンで、黄白色のアイスを掻き出そうとしたが、冷ややかな塊はとても硬かった。なにくそと思ったのか、その硬いアイスに、プラスチックスプーンを垂直に立て刺し、切り込みを入れ、なんとかすくおうとした。しかし、スプーンは勢い余って、その硬さから解放されたひと匙のハーゲンダッツをカップから蹴り出してしまい、塊は時子の目の前のカウンターに落ちた。それは希代子の笑いのもとになったが、時子は動じなかった。「昔のママだったら、『あららキヨちゃん。お行儀悪い』て、言っていたかなー。『アイスはチンして少し柔らかくして食べるのよ』って、よく言っていたもの」
と言いながら、ハンドバックから出したティッシュで拭き取った。

日頃アイスクリームを食べない和也は、
「ふーん、さすがアイス好きは違うんだな」
と言いながら、二度の過ちを防ぐがごとく慎重にすくい出したハーゲンダッツを、スプーンごと希代子に渡した。希代子は慣れた手つきで、時子の口元に運んだ。やや無理やり押し込まれたよう時子の唇は、与えられたハーゲンダッツをゆっくり掴み、ゆっくり噛むような仕草を起こした。

そして、かすかに微笑んだ。希代子も微笑みながら、その目は潤んでいた。

時子をこんな状態にしたのは3年前の脳梗塞が発端であった。たまたま希代子の姉、和香が訪ねて行った時、台所で倒れていた母親を発見したのである。和香は医者ではあったが、心底慌て、救急車を呼んだ。娘の顔を自分の妹と見間違えるようになった時、心配が始まってはいたが、このような場面に遭遇するとは想像だにしていなかった。

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